『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。
虎屋文庫は1973年に創設、今年2月で50周年を迎えました。これに合わせ、2023年10月1日から11月23日まで、虎屋文庫50周年記念!「和菓子の〈はじめて〉物語」展 を開催しております。そこで今回は、会場で取りあげる資料のなかから「商標貼込帳」をご紹介しましょう。

品名や店名、所在地などが記され、商品に添えられたり、菓子袋に摺(す)られたりした商標。小さな枠の中に作り込まれたデザインは眺めているだけでも楽しく、現在の商品広告にも通じるような、細部へのこだわりを感じさせます。これらを今でいうスクラップブックのように貼り集めたのが貼込帳です。

展示会場でご紹介するページ
本資料は閉じた状態で縦29㎝・横22㎝、およそA4判の大きさです。袋綴(ふくろとじ)で35ページあり、江戸時代後期から明治時代頃にかけての商標199点が貼られています。会場でご紹介するページには千歳飴の菓子袋が見え、鮮やかな色彩や縁起の良い意匠が印象的です。ぜひ実物をご覧ください。

和菓子に欠かせない砂糖の商標を集めたページも。藍と朱の色合いが目をひきます。別のページには、上新粉(じょうしんこ)や葛粉(くずこ)、白玉粉などの商標も貼られています。お菓子好きが作った帳面なのか、はたまた菓子職人が作ったのか、想像が膨らみます。

京都の菓子屋の商標
虎屋文庫ではこうした菓子関係の貼込帳を複数冊所蔵しており、なかには商標を京都、名古屋、大阪というように、地域ごとに分類したものもあります。作者によって内容や並べ方に個性があるのが面白いところです。
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