『あじわい』No.231(2026 SUMMER)に寄稿しています
2026.07.06
掲載情報
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。
寛永12年(1635)「院御所様行幸之御菓子通(いんのごしょさまぎょうこうのおかしかよい)」は、虎屋に現存する最も古い御用記録。寛永12年9月明正(めいしょう)天皇が、父君である後水尾(ごみずのお)上皇の御所へ行幸された5日間のご注文をまとめたものです。
内容を見てみると、まず圧倒されるのが、大饅頭2500個、薄皮饅頭1475個、羊羹538棹、高麗煎餅200枚など、お納めした数の多さ。行幸がいかに盛大であったかが想像されます。菓子は「夜の梅」「山路の菊」といった優雅な銘をもつものはまだ見られず、上記のような饅頭や羊羹など素朴なものが中心です。また、カステラ、カルメラのような南蛮菓子や昆布が登場するのも目を引きます。
菓子はどのように使われたのでしょうか。残念ながら史料にはその点触れられていませんが、きっと楽しく召しあがっていただけたことでしょう。
※表紙は後筆。なお、『和菓子』9号に「院御所様行幸之御菓子通」の全文翻刻を掲載しております。
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